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資本の概念:費用と利潤

講義の予定

  • 前回積み残した第10講の内容を講義します。
  • 以下、今回の講義内容は次回に回します。1回遅れになります。

商品売買の目的

  • はじめに、なぜ、売買をするのか、その動機から考えてみよう。
問題 11-1

「100円の菓子パンを売って、その100円で100円の缶ジュースを買った。菓子パンと缶ジュースは等価交換になっている。等価交換では価値の面では少しも得をしたことにならない。しかし、使用価値の面では互いに役にたたなかったものが役にたつものに変わったので、みなが得をする。だから人々は市場で、効用を高めるために等価交換を目指すのである。

この主張は適切か不適切か、判断の根拠を述べよ。

4 min
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  分

解答と解説 11-1

解答:不適切である。

  1. 結果と動機の取り違え:①「等価交換でも結果的に使用価値の面で得をする」ということと、②「使用価値で得になるから、はじめから等価交換を目指す」ということは別。人々の動機が等価交換にあるというのは、思い込み、論証ぬきの独断 ドグマ、イデオロギーである。
  2. 等価交換が普遍的だという根拠なき信念:等価交換は、「意図せざる結果」だとしても、一般化できない。たしかに、同じような商品を多くの人々が競争で売買している市場では、人より高く売ろう、安く買おうとしてもムリ。通常は定価(つまり価値どおりの価格で)で売買され、結果的に等価交換になりそう。しかし、定価で売るには時間がかかり、その期間はバラバラになる。そのため、売り急ぎによる値引きや、後払いによる高値(信用価格)が繰り返し生まれるワケがある。等価交換の一般化は、完全情報、完全競争など、ツヨ〜い仮定をおかないかぎり一般化できない仮構 フィクション である。
  3. 商人の存在:市場には売買を通じてもうける人々がいる。たまたまもうかるのではなく、それを生業にしている人々、広い意味での商人がいる。過去にさかのぼってみても、商人がいない市場をみつけるのはむずかしい。多くの人は商人から商品を買っているのであり、それはまた、商人に売っている人が多くいることを意味する。等価交換をしていたのでは商人の商売は成りたたない。商人は使用価値で得をするのではなく、価値で得をする。等価交換が普遍的だというのは、市場のリアルに反する。

解説:三つほど、不適切な理由を書いてみましたが、全部答えるのはムリでしょう。

ポイントはこれまでこの講義を聴いてきて、等価交換でみんなハッピーになれる、という経済学の寓話を絶対視せず、問題が多いことに気づいているかどうか、にあります。

そのうえで、不適切な理由を論理的に組み立てることができるかどうか、これが第二のポイントです。必要なのは、論理的、一般的なリアルです。ただ、現実ではないから.... といった、チョットばかりの事実にたよった回答は棄却します。

等価交換を普遍化する経済学の理論に対しては、理論のレベルで批判できないかぎり、反論にはなりません。この講義でリアルといっているのは、アレコレの事実、雑多な知識ではありません。一貫した理論としてのリアリティです。

▶after
問題 11-2

カール・マルクスの『資本論』は、市場の基本が等価交換であることを否定したユニークな著作である。

この理解は正しいだろうか。

『資本論』をみたことない人も多いと思いますが、かまいません、いまなんとなく知っていることをもとに、判断しその根拠を述べてみてください。

3 min
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  分

解答と解説 11-2

解答:間違いである。

等価交換を前提にしながら、「資本」が「利潤」をえられることを論じた点がユニークなのである。


解説:エッと思うかもしれませんが、利潤が得られるのは不等価交換だからだ、という「常識」をひっくり返し、等価交換なのに、いやもっと強く、等価交換だからこそ、利潤が発生するのだ、というのが『資本論』第1巻のモティーフです。ただし、これにはやはり前提があって、労働力が商品になっている、という前提です。この話は、冬学期のテーマの一つです。

この講義は「マルクス経済学」の講義ですが、マルクスの経済学、『資本論』そのものとは違います。

①商品の厳密な定義から出発し、②価値の存在とその表現から貨幣の第一規定を与え、③買って売るという市場の構造を分析してきた、これまでの内容は『資本論』を参考にしたものです。ただ、そこから市場の基本は等価交換であり、売買でもうけることはできない、という結論はとりません。

ということで、ここでは市場の構造から、資本とは何か、その基本的な定義を与えてゆきます。

▶after

資本の概念

問題 11-3

「カネもうけってどういうこと?」ときかれたので、「カネもうけっていうのはカネをふやしてゆくこと、つまりせっせと稼いでできるだけ節約し、おカネを貯めることさ。」と答えた。

どこか、間違っているところがあれば教えてほしい。

3 min
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  分

解答と解説 11-3

解答:間違いである。

  1. 生活費を節約して貯金しても、カネもうけをしたとはいわない。所持金がただふえただけでは、もうけたとはいはない。
  2. 親から仕送りをしてもらって、貯金が30万円から40万円にふえたとしても、カネもうけにはならない。はじめの30万円が原因になって10万円が得られたわけではない。仕送りとの10万円は、はじめの30万円とは関係ないからだ。
  3. もうけは使ったものと得たものの差額。使わずに節約してふやすのではなく、元手になるものを使って、差額をだすことで、はじめてもうかったというのだと思う。
  4. カネもうけというのは、もっている貨幣の量をただ増やすことでなく、貨幣で表された「何か」をふやすことである。

解説:うえの4.の「何か」というのは?...「価値」のこと。この言葉をチャンと定義し、上手に使えるようになると、こういう問題に答えるときに困らない。

...ということで、カネもうけというのはどういうことか、もうかったということをどう量的に表現していったらよいか、というような問題について、このあと、考えてみます。

資本と利潤という用語は、カネもうけを厳密に定義してゆくうえで必要な概念です。

▶after
▶資本の投下
問題 11-4

資本の投下はまず貨幣でなされる。

真か偽か、判断の根拠を述べよ。

2 min

解答と解説 11-4

解答:偽。金額はもつものは、貨幣か商品。したがって、資本は貨幣か商品か、いずれかのかたちでおこなわれる。

解説:貨幣で投下する場合、額面は明瞭。商品の場合は、その商品が買える価格、売れる価格で額面が算定される。

「ふやす」ものは、厳密にいうと、そのときどきの金額で表されている価値。

資本は、売買の連鎖を通じて、「ふえる」価値である。

資本は投下される。投下された資本のうち、貨幣を支出すれば費用として計上される。貨幣で商品を買えば、投下された資本のかたち shape が貨幣から商品に変わる。

商品を売れば、資本のかたちは商品から貨幣に替わる。

資本の投下と、貨幣の支出を混同してはならない。

G---W---G' が資本だと安易に考えると、資本の投下と貨幣の支出 G---W があたかも同じであるかのように映るので注意が必要。

資本は投下するもの、貨幣は支出するもの、とここで10回唱えたことにして、先に進もう。

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  分
▶after
▶原価とマージン
▶流通費用
▶期間の概念
▶グロスとネット
▶フローとストック
問題 11-5

タンクに1000リットルの水が入っている。このタンクに毎分30リットルの水が流れ込み、毎分28リットルの水が流れ出す。

1時間に流れ込んだ水の量と流れ出した水の量は何リットルか。

タンクの水の量は何パーセント増加したか。

2 min

解答と解説 11-5

解答:30 x 60 = 1800リットル。 28x 60 =1680リットル。(1800-1680)/1000=0.12。12パーセント

解説:ばからしい問題ですが

1800リットルや1680リットルは、タンクに流出入する「流量」で''フロー''とよぶ。

これに対して、ある時点でタンクにたまっている水量を''ストック''とよぶ。

フローは''期間''に依存する概念、ストックは''時点''に依存する概念です。

1800リットルが売上高、1680リットルは仕入れの原価総額、この差が利潤、タンクの中の水は投下資本量に対応します。

ここで例示したフロー、ストックは、このあと利潤率を考えるヒントです。

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56/68 ...1点以上  82%

  分
▶after
問題 11-6

資本はフローかストックか?判断の理由を述べよ。

2min

解答と解説 11-6

解答:ストック。貨幣か商品のすがたで、特定の時点で金額に相当する対象が実在するから。

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  分
▶利潤率
問題 11-7

利潤はフローかストックか?判断の理由を述べよ。

2 min
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  分

解答と解説 11-7

解答:ストックであり、フローでもある。

利潤は、フロー マイナス フロー であり、

ある時点にその量で実在するという意味ではストック

ただし、ある期間の差額であるという意味では、期間に依存したフロー

売買によって形成されるフローと、資本というストックを関係づける項目である。

問題 11-8

利潤率を単純化した例で計算してみよう。

店の家賃15万円は月末に払うことになっている。

毎週、週のはじめに20万円で商品を仕入れ、週末までに25万円で売りきるかたちで、1月あたり、4週間営業した。

このとき、月間の利潤率は何パーセントになるか。計算式も示せ。

2 min
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  分

解答と解説 11-8

家賃の10万は月末払いなので、投下資本は20万円。

売買差額つまり粗利潤は...

$$25 \times 4 -20 \times 4=20$$

粗利潤から流通費用を引いた、純利潤は....

$$20-15 =5$$

したがって、利潤率は...

$$\displaystyle\frac{5}{20}=0.25$$

$$25パーセント$$


Last-modified: 2021-02-20 (土) 19:13:30